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未来のロボットは、どんな進化を遂げて、どんな形になるんだろう。

 

映画「Matrix(マトリックス)」のなかに印象的なシーンがあります。

 

屋上のヘリコプターを見つけた主人公のネオがトリニティに対して「これ飛ばせる?」と聞くと、彼女は「いいえ、まだ」と答え、”操縦用プログラム”を自分の脳へダウンロードし、ヘリを飛ばします。

 

もちろん、これはフィクションであり、人間がインターネット上から新しいスキルを手に入れて使えるようになることはできません。

 

でも、ロボットなら可能です。

 

Cloud Robotics(クラウドロボット工学)

現在、研究者たちはロボットにクラウドコンピューティング技術を搭載して、膨大な量のデータを計算できるパワーを与えようとしています。

 

この方法は、「Cloud Roboticsクラウド・ロボティクス)」と呼ばれ、ロボットから画像処理や音声認識といった処理が大変な仕事を減らすことができます。また、マトリックスのように新しい技能をその場でダウンロードすることもできます。

 

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Androidマーケットからアプリをインストールして動作する「Cellbots

クラウドで何ができるの?

いまロボットの目の前にコーンフレークの箱を置いたとします。このロボットは、置かれた物体を見つけると、クラウドに箱を写した画像を送ります。すると、対象の名前や3次元モデル(幅や高さなどの形状)、原材料、お皿に入れる方法などの情報がロボットへダウンロードされます。

 

従来のロボットはどうしてたの?

これまでのロボットは、顔を認識したり、位置を確認して目的の場所まで移動したりといった動作を行うために、たくさんの計算をさせる必要がありました。結果として、人の形をしたヒューマノイドロボットには処理能力の高いコンピュータと、それを動かすためのバッテリーが必要でした。

 

クラウドはロボットに何を与えるの?

カーネギーメロン大学の「James Kuffner」氏は、クラウド・ロボティクスの可能性について2010年12月に開かれた「IEEE International Conference on Humanoid Robots」で次のように述べています。

 

「クラウドはロボットを『より軽く、より安く、より賢く』する」

 

クラウド化したロボットは、CPUをたくさん使う処理をリモートサーバに任せることで、小さくて省電力なコンピュータで十分動作させることができます。

 

さらに将来は、クラウド上のサービスによってロボットの能力、たとえば人物や物体の認識や、ナビゲーション機能などを改善できるようになるかもしれません。

 

クラウドを採用したロボットは?

Kuffner氏は、Googleの「Autonomous Car Project」メンバーの一員として、さまざまなクラウドロボットのアイデアを模索しています。最近では、LEGOの玩具「マインドストーム」のようなプラットフォームにAndroidケータイを載せたロボット「Cellbots」を発表しました。

 

もちろん、クラウド・ロボティクスはスマートフォンだけに制限はしていません。サイズの大小や、ヒューマノイドかどうかも関係ありません。あらゆるロボットが対象であり、そして標準化が実施されれば、簡単にアプリケーションを共有できるようになるでしょう。

 

Kuffner氏は、そのときはロボットのための「app store」を開くと提唱しています。iPhoneを始めとしたスマートフォンの成功はそうした流れのなかの一つなんだそうです。

 

今後の課題は?

万能に見えるクラウドにも解決できない問題が存在します。それは、ロボットの動きの制御です。制御するためには、センサーからの情報をリアルタイムに受け取って処理を行う必要があり、クラウド化による恩恵は少ないと考えています。

 

さらに、インターネットを利用していると分かると思いますが、クラウドベースのアプリケーションは、取得に時間がかかったり、いつの間にか利用できなくなる恐れがあります。皮肉なことに、ロボットがクラウドに依存するほど、ネットワークトラブルによって「頭が悪くなる」かもしれません。

 

そうした問題に対し、Kuffner氏は楽観的に捉えています。将来、ロボットが得られたデータを蓄える「知識データベース」を用意し、世界中で相互に利用できるようにして、新しく発見した物体の挙動や場所を次々に学習していきたいと考えています。

 

そして、いつの日か冒頭で述べた「ヘリコプターパイロットプログラム」がロボットにダウンロードできるようになるかもしれません。

 

Robots With Their Heads in the Clouds

引用元:IEEE Spectrum

 

つい最近まで、一人一台スマートフォンという名のパソコンを日常生活のなかで持ち歩くようになるなんて殆どの人が想像してなかったんじゃないかな。つぎは、一人一台ロボットの時代が来るんだろうか。来るとしたらどんな形になるのか今から待ち遠しいな。