箱根と駿河湾を眺望する丘に立つ静岡県立静岡がんセンター。ここで秋にも、「がん患者から出るにおい」の抑制を目指す新プロジェクトが立ち上がる。
引用元:日経産業新聞 2008/8/19
最初、この文章を読んだとき意味がまったく分かりませんでした。問題になるほどの匂いが患者から出ることも、そしてその原因が何なのかも知りませんでした。
治療時には壊死したがん細胞組織と血液などが混じった独特のにおいが生じ、看護師はマスクやゴーグルをして患者と向き合う。「患者さん自身がそれを気にして『ごめんね』と謝る姿を見るのが大変つらかった」
医療の現場では、自分が想像していたよりも壮絶な状況だということが上の文章から感じ取ることができました。
一エンジニアとして、生活が豊かになる製品も大事だけど、それ以上に人間の心を救う製品の開発をしていきたいと感じさせられました。また、メーカーや政府はこういった分野にもっと注力して、予算を投じるべきだと思います。
この問題に対して、同センターは収集した空気中の揮発成分から、匂いの元となる成分の分子構造を解析・再現し、分子内の結合を切断することで匂いを消滅させようとしています。ここで、味や匂いを数値化する研究をしている九州大学の都合・林研究室のホームページを引用させて頂くと、
匂い分子を受容した匂い受容体は、活性化され、嗅球と呼ばれる脳の一部分に電気信号を伝搬します。そして嗅球に集約された電気信号の組み合わせにより、人間は「匂い」を感じます。
どうやら、本当に匂い分子を壊してしまえば「匂い」を感じずに済むようです。
においを消滅させるためには、周囲の雑音と逆位相となる音を聞くことで静音化を図るノイズキャンセラーを真似て、正反対の匂い分子を放出する手法を使った方が低コストで出来そうな気がするんだけど、やっぱり難しいのかな。
最後に紹介した人間の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の数値化に関しては、近年ようやくスポットライトが当たり始めました。きっと、今後はこの技術を取り入れた製品がどんどん登場してくると思う。そこで、何か面白い使い方は無いのかと模索してみるもイイネタは思い付かず。うーん。
ボツネタ