Googleがネット世界とリアル世界へ及ぼす影響について書いてあり、共感する部分がとても多かった(多少、表現が大げさなところもあるけど…)。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
梅田 望夫
筑摩書房
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アドセンスがもたらす効果

リアル世界には地域経済格差が存在する。しかしアドセンス世界には地域経済格差がない。アドセンスの原資は、主に先進国企業が支払う広告費でできている。つまりドルやユーロでアドセンス経済圏はできあがっている。よって、生活コストの安い英語圏の発展途上国の人々にとっては、生活コストに比して驚くほどの収入がアドセンスによってもたらされる。ネット世界で、あるトラフィックを集めて月に五〇〇ドル稼げるとすれば、そのサイトを発展途上国の人が運営していても五〇〇ドル、先進国の人が運営しても五〇〇ドルである。ネット上に地域という概念は存在しないからだ。これは発展途上国の人にとっては天恵とも言うべき仕組み。グーグルはこのことをもって、「世界をよりよき場所にする」とか「経済的格差の是正」を目標にすると標榜するわけだ。

海外の人の視点に立って、こういう考え方をしたことがなかった。たしかに、発展途上国の人々の働き方を変えてしまうほどインパクトは大きいと思う。もちろん、ネットへ簡単に接続できる環境があればの話だけどね。。。日本では是正効果は少ないと思うが、子供でも大人でも稼げる額が一緒だという事実は結構大きいんじゃないかな。お小遣いしかお金を得る手段のなかった小中学生の時であれば、頑張ってホームページを作っちゃってると思う。いまは働いて得ているお金があるのでアドセンスに懸けるモチベーションはちょっと…(汗;)

旧来型組織の減少

「共同体意識に縛られた日本の旧来型組織」以外に職を探そうとしても、いまはふんだんに選択肢がある。日本組織の暗黙のルールは「日本は雇用流動性が低いから、共同体に忠誠を尽くすことが最優先事項」であったが、その外で通用するスキルを持つ人にとって、日本ビジネス社会の雇用流動性はかなり高くなった。雇用流動性が高くなったということは、「内向きな理論」だけでは生きていけず、組織に属しながらも、外を常に意識しなければならないのが当たり前になるということだ。

今では当たり前になってしまったけど、ここ十年くらいで成果主義を主張する会社が倍増した。特に今まで終身雇用制を是としていた大企業にその傾向は強い。頑張れば頑張っただけ報酬を与えますよ、という形はまさに資本主義そのもの。見方を変えると、若者の成長意欲を促進するためにニンジンをぶら下げているようにも見える。会社の活性化を図るという意味では良いような気もするが、向上心の高い人ほど自分自身のスキル向上を第一と考えてしまいがちで、結果的に共同体としての結束力強化には結びつかないと思う。スキルが無ければいずれはリストラ。だったら、若い今のうちに少しでも多くスキルを身に付けなければ、そのためには会社を辞めてでも…、と考えてしまうんじゃないかと思う。実は、自分もこの心境に至ったことがある。雇用流動性が高くなった現在では、多くの方がこういった考えに流れていくんじゃないかと思う。

大事なのは、常に周りを見渡して自分自身の立ち位置を確認しておくこと。いま何が求められていて、何を身に付けなければいけないのか。そのためには、社外はもちろん社内も十分に観察する必要があり、日ごろから近隣部署や関係会社の人とこまめにコミュニケーションをとっておくことが肝要だと考えます。

知的生産の道具としてのブログ

  1. 時系列にカジュアルに記載でき容量に事実上限界がないこと
  2. カテゴリー分類とキーワード検索ができること
  3. 手ぶらで動いていても(自分のPCを持ち歩かなくとも)、インターネットへのアクセスさえあれば情報にたどりつけること
  4. 他者とその内容をシェアするのが容易であること
  5. 他者との間で知的生産の創発的発展が期待できること

ブログは使いやすいツールという認識はみんな持ってると思う。表示方法ひとつとっても、時系列やカテゴリごとにエントリーを見ることができ、頻度の高いタグもタグクラウドを使えば一目で認識できる。ここ数年間のうちに、ウェブ上で管理できるツールは増えて競争が起こり、使い勝手が格段に良くなった。一回読んだ本は、必ずブログに残す。そして、リファレンス用の本以外は他の人に譲っていけば、積読も減るし本棚を有効に活用できるんじゃないかと思う。

特に、自分の生きた証を残したいけど、日記をノートに書く習慣がない自分にとってはとても有難いツールです(笑)

マス・コラボレーション

従来の組織的手法ではこの問題が解決されなかったのだが、ネット上にこの課題が提示されたとたん、わずか数ヶ月の間に、関連分野のさまざまな領域の見ず知らずのプロフェッショナルたちがネット上で協力し合い、低コストでしかも訓練なしに使える新システムが開発され、その課題は解決されてしまったのである。

コレラ対策に関する「オープンソース現象」について書かれたものだが、これを読んでインターネットは人類の進化を加速するツールになったんだと感じた。みんなの良心の集合体は時にとてつもない力を発揮できるのだと実感。

予測市場

予測市場とは、実験経済学の分野で三〇年以上の歴史を持つ、コンピュータを使った人工市場の流れが、インターネットという大潮流と合流し、にわかに脚光を浴び始めた興味深い領域である。予測市場では、予測対象の結果に連動して価値が決定される仮想証券とそれらが取引される市場を用意する。「正しい予測をする」というインセンティブを持つ参加者が、その市場で自由に仮想証券の取引を行うのである。

2004年米大統領選の結果を当てたことで有名になったらしいのですが、今回初めて聞きました。いろんな人の思惑に基づいて働いている投票メカニズムは、さまざまな情報を提供しているインターネットとは相性が良いのだと思います。株と同じで、お金が絡むと人は冷静に取捨選択を行うものです。

ネットの善悪

ネットが悪や汚濁や危険に満ちた世界だからという理由でネットを忌避し、不特定多数の参加イコール衆愚だと考えて思考停止に陥ると、これから起きる新しい事象を眺める目が曇り、本質を見失うことになる。

不特定多数の衆知を集めて何かをしようとするとき、度々その中に含まれる意見の善悪が問題として取り上げられる。でも、ネット世界だから悪意のあるユーザーが多いのではなく、それはリアル世界でも同じだと考える。ただし、リアル世界に比して、ネット世界では悪意のユーザーの影響が拡大して伝わっていくという点で異なるのだと思う。上述したコレラ対策を考えると、危惧して何もしないより、とりあえずやってみるというのがネット世界では重要だと思う。

十代の感動の重要性

十代で「コンピュータの私有」に感動したゲイツ世代は、インターネットの「こちら側」への拘りを今も捨てきれずにいる。しかし十代で「パソコンの向こうの無限の世界」に感動したページ/ブリンの世代は、インターネットの「あちら側」にまったく新しい創造物を構築しつつある。まさに世代交代のときなのである。

ちなみに自分は十代でセンシング技術に感動し、高専、大学とコンピュータビジョンの研究に没頭した。誰かに自慢できる新しい技術を作りあげたという自信も持っている。それでゴハンを食うまでには至らなかったが、これから先非常に発展していく技術であることは確信している。9.11テロ以降、セキュリティ分野において人物認識技術が注目され、最近の自動車では車載カメラを利用したアラウンドビューモニターや、車線認識といった運転アシスト技術にも使われてきている。また、NintendoDSやiPhoneといったポータブルAV機器にもタッチパネルや加速度センサーなどの技術が採用され始めている。

グローバルに活躍するには

グローバルに活躍する日本人たちの経験に共通する「転職によるいい意味での人生の急展開」「新しい場での新しい出会いがもたらす全く新しいオポチュニティの到来」「組織に依存しない個人を単位としたネットワークがフル稼働することの強靭さ」「いつ失職するかわからない緊張感の中で、常に個としてのスキルを磨き自分を客観的に凝視し続ける姿勢が、いかに個を強くするか」といった新しいキャリア・パラダイムについて、日本のエスタブリッシュメント層の人々は、頭では理解できても、経験に裏打ちされた想像力が全く働かないのだ。

まさに自分が思っていたことをストレートに表現した文章だった。もちろんグローバルで活躍はしていませんが、日本人は変化を良しとせず、現状に満足している人が多いと思う。自分にはそれが妥協にしか見えない。

以上。今度、この人のブログを見てみようっと。